我が家のデータサーバーとして、QNAPのNAS ”TS-251D”を運用しています。
今回の記事の内容はタイトル通りですが、NASを購入するなら一緒にUPSも購入しましょう!というお話です。
RAIDやバックアップなどでデータの安全性を確保するのも大切ですが、それらの基幹とも言える”電源”の安全性が確保できていないと意味がありませんので。
- UPSとは?
- UPSがなければどうなる?
- おすすめのUPS
UPSとは
UPSとは、”Uninterruptible Power Supply”の略で、日本語の正式名称は”無停電電源装置”と言います。
どちらにしても少しわかりにくいのですが、簡単に言えばバックアップ電源です。
UPSって言うと世界トップクラスの物流企業しか思い浮かばないけど
そうだね、だから「UPS」「電源」で検索した方が良いよ。
構造的には簡単で、UPSの中にはバッテリーが内蔵されており、停電時などで電源供給が遮断されると自動的に内蔵バッテリーに切り替わり、UPSに接続した機器を一定期間動作させ続けるという役割があります。
NASのデータを外付けHDDでバックアップするのと同じように、もしものときの電源をバックアップするためにUPSを使用するということですね。
NASにとってのUPSとは
UPSの必要性
NASにとってのUPSの必要性は、前述のUPSの働きを知ればおわかりいただけたかと思います。
そのNASの最大の敵はランサムウェアなどによる攻撃かと思われます。
ですが、身近にある”電源”にも実は大きな危険性を抱えています。
NASは基本的に24時間365日稼働しています。
ということは、常にHDDは動き続けているということですが、HDDが動いているときに電源プラグを抜いたらどうなるでしょう?
もしかしたら、再起動したら何もなかったかのように正常に動き出すかもしれません。
でも、もしかしたらデータが破損してしまい一部のデータが見られなくなるかもしれません。
もっと最悪な状態だと、HDDそのものを破損させてしまい全てのデータが見られなくなるかもしれません。
電源を切らなければいいだけでしょ?
家族が間違えてプラグを抜くことだってあるよ。
一人暮らしだしペットも飼ってないから大丈夫よ。
使いすぎでブレーカーが落ちることだってあるよ。
PCとNASとコタツだけだから大丈夫よ。
落雷とかで停電ってことだって考えられるよ。
実際に我が家でも、NASを仮接続して各種設定を行っているときに家族が省エネのために就寝前にコンセントのスイッチを切ってしまいあわや・・・という事態がありました。
それを防ぐのがUPSです!
NAS用UPSを選ぶポイント
UPSであれば何でもよいわけではありません。
バックアップ電源と聞くとまず容量のことを考えると思います。
NASに限って言えば容量はUPSの一番小さいものでも構いません。
バッテリー駆動時間に余裕をもたせたかったり、他機器を接続したりするのであればそれに応じて容量を選定すれば良いだけです。
容量以外に、絶対に押さえておくべき2つの仕様があります。
- 出力波形
- 電源管理機能
出力波形
NASに使用するUPSで押さえておくべき仕様の一つ目は「出力波形」です。
UPSが通常動作(AC駆動)しているときはほとんどがパススルーなので気にしなくて構いませんが、バッテリー駆動の仕様に注意してください。
これがNASに使用できるUPSの必須条件です。
小型UPSは主に3種類の方式に分類されます。
- 常時インバータ給電
- ラインインタラクティブ給電
- 常時商用給電
それぞれ特徴があり、どれもNASやPCで使用することは可能です。
ただし、停電時にバッテリー給電に切り替わった際の出力波形が”短形波”や”疑似正弦波”の場合は正常動作できない可能性があります。
上記の分類で言えば、常時商用給電方式の場合は出力波形が正弦波と矩形波の2種類あるのですが、矩形波のモデルは使用できないということになります。
常時商用給電(矩形波)方式は安価なUPSで採用されていることが多く、PFC(力率改善回路)を搭載した電源では動作しないことがあるというのがどのメーカーでも謳われています。
最近のパソコンやNASはPFC搭載電源が使用されていることが多いようです。
ちなみに、常時インバータ給電・ラインインタラクティブ給電方式は、出力波形は正弦波しかないのでこの2方式であれば確実に純正弦波です。
矩形波のUPSのレビューなどで「NASを運用している」という内容の書き込みも見られますが、バッテリー駆動時に問題なかったのかわかりませんし、NASの機種によっては使えるものがあるのかもしれません。
ただし、”最悪の場合は壊れる”というリスクもあると考えたら安易に値段だけでUPSを選ばないほうが良いと思います。
電源管理
NASに使用するUPSで押さえておくべき仕様の二つ目は「電源管理」です。
※メーカーによって名称は異なります。
UPSを使用していて恐ろしいのが”突然の電源遮断”というのは前述の通り。
停電したらすぐにNASをシャットダウンさせるから大丈夫だよ。
停電時に出かけてたらどうする?
停電直後はバッテリー駆動でNASは動き続けることはできますが、バッテリーがなくなると同時にNASも電源が落ちてしまいます。
人が操作しなければNASの電源を正しく落とせないからです。
このようなバッテリー駆動切り替わったことをNAS側に知らせることで、NASが自動でシャットダウンする機能のことを電源管理といいます。
本機能があれば、バッテリー稼働中に電源が復旧されなかった場合でもNASへのダメージを防ぐことができます。NAS用UPSには必須の機能です!
電源管理を行うには、UPSとNASを通信ケーブルで接続します。
また、NAS側での設定も必要になります。通信ケーブルを接続しただけでは機能しないので注意してくださいね!
安価なモデルにはこの機能がない場合があります。
おすすめのUPS
NASのためのUPSと考えれば、各メーカーの最も小さいサイズのもので満足できると思います。
※あれもこれもバックアップを・・・となると容量が足りなくなるのでご注意を
おすすめのUPS 4選
NAS+αの機器を接続させられそうなUPSを選定してみました。
※当方で動作確認した機種という意味ではありませんので、動作保証はいたしかねます。
メーカー | CyberPower | APC | オムロン | パワーコム |
型式 | CPJ500 | RS400 | BW40T | SKP-650 |
定格入力電源 | 単相AC100V | 単相AC100V | 単相AC100V | 単相AC100V |
定格入力周波数 | 50/60Hz | 50/60Hz | 50/60Hz | 50/60Hz |
コンセント数 (バックアップ/サージのみ) |
6 / 0 | 3 / 3 | 4 / 0 | 3 / 3 |
容量 | 500VA/300W | 400VA/240W | 400VA/250W | 650VA/370W |
運転方式 | 常時商用 | ラインインタラクティブ | 常時商用 | ラインインタラクティブ |
バッテリー出力波形 | 正弦波 | 正弦波 | 正弦波 | 正弦波 |
平均転送時間 | 6~10ms | 10ms以内 | 10ms以内 | |
ランタイム | 半負荷:10分 全負荷:3.5分 |
半負荷:17.8分 全負荷:5.5分 |
全負荷:5.4分 | 8割負荷:3分 |
バッテリー交換 | × | ◯ | ◯ | ◯ |
アラーム音 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
電源管理 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
サイズ (mm) | 92×165×280 | 91×190×310 | 90×165×291 | 102×165×326 |
重さ | 4.15kg | 6.8kg | 4.5kg | 7.9kg |
実勢価格 | 13,500円 | 14,500円 | 14,800円 | (40,400円) |
全ての機種で、雷サージ保護が付いているのでコンセントに別途サージキラーなどを付ける必要はありません。
上表の”コンセント数”欄の見方は下記のとおりです。
- バックアップ:バックアップ電源+雷サージ保護されるコンセント数
- サージのみ:バックアップ電源には繋がっておらず雷サージ保護のみ有効なコンセント数
CyberPower CPJ500
常時商用給電方式の正弦波出力のモデルです。
容量が500VA/300Wあり、全負荷状態で3.5分のバッテリー駆動が可能。
バックアップ電源のコンセントが6個もあるので、NAS以外にルーターやONUなど周辺機器も保護することができますね。
APC RS400
「UPSと言えばAPC」という記憶だったんですが、2007年にシュナイダーエレクトリック社がAPC社を買収していたようです。
こちらはラインインタラクティブ給電方式。
AVRで安定した電圧供給が可能なので不安定な電源環境下でも比較的安心ですね。
オムロン BW40T
安心の日本メーカー オムロンのUPSで、常時商用給電方式(正弦波出力)モデルです。
4個のコンセント全てがバックアップ電源に繋がっているので様々な機器を保護することができます。
パワーコム SKP-650
パワーコムジャパンというメーカーの製品ですが、製品自体は海外のものでパワーコムジャパンが輸入販売しています。
ラインインタラクティブ給電方式を採用しており、他機種より大容量バッテリーを搭載しているのが特徴です。
※Amazon・楽天市場ともに4万円前後の価格となっており、他機種に比べて仕様と価格のバランスに疑問があるため商品リンクは貼っていません。
NAS用UPSのまとめ
NASは非常に便利なストレージですが、常時稼働している機器だということを理解して不測の事態にしっかり備えておく必要があるかと思います。
- バッテリー駆動時に純正弦波を出力できる
- NASの電源管理をするための通信ポートがある
この2つの仕様は必ず押さえておきましょう。
それでは良いNASライフを!