今回はカメラを趣味にしている者が必ずと言っていいほどぶち当たる壁。
それがカメラバッグ
形状の好みや使用する状況、持っている機材によって選択肢は多岐に渡ります。
その中から「これだ!」って思って購入したバッグがドストライクのこともあれば、使ってみると思っていたのと違うことも多々あります。そして、往々にして一発目でゴールにたどり着かないのがカメラバッグ。一発目でゴールと思っても別タイプも欲しくなるのがカメラバッグ。
そういう意味では「壁」というより「沼」といった表現の方が正しいのかもしれません。
要するに今回は、カメラバッグを購入したよ!という内容です。
購入したのはWOTANCRAFT – PILOT UPGRADE 10Lというショルダータイプのカメラバッグです。
前述のとおり、使う場面や撮影対象によって機材も取り扱いも変わるので、これがカメラバッグ沼の終着点だ!というつもりはありませんが、素直に使い勝手が良いバッグだったのでレビューしてみたいと思います。
- カメラバッグぽくない見た目
- 軽くて丈夫なCORDURAナイロン素材
- 用途に応じて組み替えられるディバイダー
- 容量やポケットを自在に増やせる後付けポーチ
- 身体への負担を軽減してくれるショルダーストラップ
- BROPMTONに取り付けられる
WOTANCRAFTとは
まずは、WOTANCRAFTとは何ぞやという説明から。
WOTANCRAFT(ヴォータンクラフト)は台湾にあるバッグ・アクセサリを製造・販売しているメーカーです。
バッグだけでなくカメラストラップや腕時計のバンドなども作っているのですが、どれもビンテージな風合いでこれ系が好きな方には涎もののラインナップだと思います。
台北にある直営店は店内の雰囲気がめちゃくちゃ良く、ディスプレイが上手なので思わず手に取ってしまい(そして買ってしまい)ます。
台湾にご旅行に行かれた際にはぜひ一度お店をご訪問されることをお勧めします。その際には他のバッグは持って行かない方が良いかもしれませんね。
カメラバッグ PILOT UPGRADE
WOTANCRAFTには様々な種類のバッグがあるんですが、その中で今回は私が購入したショルダータイプのカメラバッグを取り上げます。
ショルダータイプのカメラバッグは「PILOT UPGRADE」というシリーズです。
容量 | 2L | 3.5L | 7L | 10L |
外寸 | 14×15×8.5 cm | 20×18.5×11.5 cm | 35×15×24 cm | 40×16×28 cm |
内寸 | 13.5×14.5×8 cm | 19.5×18×11 cm | 32×10×20 cm | 38×11×24 cm |
重量 | 300 g | 400 g | 840 g | 1050 g |
付属品 | 本体 Sサイズ仕切り ショルダーストラップ | 本体 Sサイズ蓋付き仕切り ショルダーストラップ | 本体 iPad用仕切り Sサイズ蓋付き仕切り Sサイズ仕切り ショルダーストラップ | 本体 ノートパソコン用仕切り Lサイズ蓋付き仕切り(2個) Lサイズ仕切り ショルダーストラップ |
現地価格 | TWD 2,480 | TWD 2,980 | TWD 4,280 | TWD 5,280 |
私が今回購入したのは、一番大きい10L。
一番大きいとは言え、10Lなのでフルサイズミラーレスとレンズ1本が実用的なサイズではないでしょうか。
BROMPTON用フロントバッグ
実はこのPILOT UPGRADEシリーズにはBROMPTON専用フロントバッグが存在します。
イギリス製の折りたたみ自転車で「ブロンプトン」と読みます。
独特の構造で簡単・コンパクトに折りたたみができる上、折りたたみ自転車とは思えない走行性能を持ち合わせた、日本でもコアなファンが多い自転車です。
そのBROMPTONには、車体前側にバッグを搭載するためのブラケットが取り付けられています。
BROMPTON用フロントバッグというのは、専用フレームをバッグに取り付けられるようになったバッグを指しており、WOTANCRAFTでもBROMPTON用フロントバッグタイプのバッグを製造しています。
実は、私が購入したのはこのBROMPTON用のPILOT UPGRADEなんです。
BROMPTON用のPILOT UPGRADEは7Lと10Lの2種類のみです。
容量 | 7L | 10L |
外寸 | 35×15×24 cm | 40×16×28 cm |
内寸 | 32×10×20 cm | 38×11×24 cm |
重量 | 1090 g | 1400 g |
付属品 | 本体 iPad用仕切り Sサイズ蓋付き仕切り Sサイズ仕切り ショルダーストラップ 巾着ポーチ ファスナーポーチ | 本体 ノートパソコン用仕切り Lサイズ蓋付き仕切り(2個) Lサイズ仕切り ショルダーストラップ 巾着ポーチ ファスナーポーチ |
現地価格 | TWD 5,780 | TWD 6,780 |
価格
旅行向け価格表
容量 | 2L | 3.5L | 7L | 10L |
現地価格 | TWD 2,480 | TWD 2,980 | TWD 4,380 | TWD 5,280 |
日本円換算 (2023年6月現在) | 11,500円 | 13,800円 | 19,800円 | 24,500円 |
PILOT UPGRADE 旅行向けは日本では正規発売していないはずなので、日本国内で購入する場合は直営店から直接(個人輸入)か、日本で輸入しているショップからになると思います。
BROMPTON用価格表
容量 | 7L | 10L |
現地価格 ※背面フレーム含まず | TWD 5,780 (約2.6万円) | TWD 6,780 (約3.1万円) |
日本価格 ※背面フレーム含む | 40,150円 | 46,750円 |
旅行向けとBROMPTON用の違いは、バッグ背面に専用フレームを取り付けられる構造になっているかだけで、基本的な仕様はほぼ同じです。両者の決定的な違いは標準付属品で、旅行向けではオプションのポーチ(2種)がBROMPTON用では標準で付属しています。
台湾ドルでは両者は1400~1500元ほどの差がありますが、2000元分(1000元×2個)のポーチが付属しているので、実はBROMPTON用の方がお得なんです。バッグと一緒にポーチを買った場合でも1600元(800元×2個)なのでお得なことには変わりありません。
※ポーチを含むアクセサリ類は、バッグと同時購入すれば割引価格で購入することができます。
BROMPTONユーザーなら間違いなくBROMPTON用PILOT UPGRADEをおすすめします。純粋なカメラバッグとしてであればPILOTに必要なポーチ類を追加購入しても良いかと思います。
「おすすめ」は台湾元ベースでの考えです。日本の販売価格を見るとBROMPTON用はちょっと高すぎるかもしれません・・・
日本では折りたたみ・小径自転車専門店の「LORO CYCLE WORKS」が代理店として、BROMPTON用バッグを取り扱っています。上表の日本価格はLOROの販売価格です。
PILOT UPGRADE 10Lの紹介
これがPILOT UPGRADE 10L(BROMPTON用)の付属品です。
左から
上:ファスナーポーチ、巾着ポーチ、本体
中:ショルダーストラップ、ノートパソコン用仕切り
下:Lサイズ蓋付き仕切り(2個)、Lサイズ仕切り
になります。
とりあえずこれだけあればカメラバッグとしても普通のショルダーバッグとしても困らないレベルです。
本体
外観
カーキブラウンを購入しました。
コーデュラナイロンなのに全然それっぽく見えないのが特徴です。ワックスコーティングされておりシワや擦れなどの経年変化を楽しむこともできそうです。
サイドポケットは両側にあり、500mlのペットボトルや折りたたみ傘を収納するのに便利です。
背面はBROMPTON用なのでフレームを取り付けるためポケットなどはありません。※旅行向けには背面ポケットがあります。
内部
ディバイダー(仕切り)のないメインコンパートメントはかなり広いです。
カメラバッグとしてだけではなく、旅行バッグとしても余裕で使えそうです。
フロントには薄いポケットがあります。私はここにレンズペンやクリーナーなどを収納していますが、基本的に頻繁に使うものは入れてません。
この類のポケットは、空荷のときは普通に使えそうに感じますが、メインに荷物が入っているとポケット側の容量が圧迫されて出し入れが難しくなるためです。
ショルダーストラップ
ショルダーストラップはワンタッチで簡単に長さを変えられるようになっています。
公式サイトでは片手で調整できるような動画がありますが、実際は片手では難しいです。とは言え簡単なことには間違いないんですけどね。
外付けポーチ
BROMPTON用にはこの2つのポーチが付属しています。
それぞれにストラップが付属しており、ショルダーポーチとしても使えるんです。
PILOT UPGRADE 10Lを実際に使ってみた
私がカメラバッグに求めるもの
趣味はなんですか?と問われたら「カメラ」と答えるであろうタイプの人間ではあるのですが、とは言え「好き」に少し毛が生えたくらいのレベルです。
なので、私がカメラバッグに求めるものは、カメラ+レンズ数本に三脚やストロボを・・・といった本格的ものではありません。
カメラ+レンズ以外はスマホや折りたたみ傘、サングラス・軽く羽織れるものといった日用品を入れられるスペースがあれば十分です。
私にとってのカメラバッグとして重要なポイントは、カメラはもちろん、カメラ以外のアイテム出し入れのしやすさの部分です。
カメラバッグに入れるもの
私が使用しているカメラはSONY α7VIというフルサイズのミラーレスカメラです。
これにSEL50F14GMという50mm/F1.4の単焦点レンズを装着しています。
最近、マウント移行したばかりでこれ以外のレンズは持っていませんので、大三元レンズが収納できるのか!?といった疑問にはお答えできません。
では実際に私が休日にお出かけする際に持っていくもののリストと、それらを収納できるかをチェックしてみましょう。
- カメラ+レンズ(SONY α7IV + SEL50F14GM)
- カメラ(RICOH GRIII)
- 予備バッテリー
- レンズペン、クリーナー
- モバイルバッテリー
- USB-Cケーブル
- USB-Cアダプタ
- スマートフォン(Google Pixel 7 Pro)
- イヤホン(Google Pixel Buds Pro)
- 折りたたみ傘(mont-bell トレッキングアンブレラ)
- サングラス
- ポケットティッシュ、制汗シートなど
- パッカブルバッグ
- ウィンドブレーカー
- 財布
こうやって書き出すと、カメラ以外の荷物が結構多いんだなって実感しますね。
全部収納してみた
それでは、前述の普段持ち歩くアイテムがどんな感じで収まるのか実際に試してみましょう。
ディバイダー(仕切り)の取り付け
ディバイダーはこのような形で組み合わせています。
真ん中のスペースには、縦向きでカメラを収納します。収納したときにレンズが底面に当たらないようカメラ本体をディバイダーが支える高さに微調整してあります。
全アイテムを収納
左側(蓋をしている部分)にモバイルバッテリーや予備バッテリーを入れてます。
そして、右側の高さがある部分にシート類やサングラスなどを入れてるのですが、ウインドブレーカーやパッカブルバッグは頻繁に出し入れするものではないので、底部分に押し込んであります。
GRIIIやスマホは外付けポーチに入れてます。バッグのフラップを閉じてもポーチ側の出し入れに影響はありません。
見ての通り巾着ポーチを使わなくても余裕の収納力!
全てをぎゅうぎゅうに押し込むのではなく、ほどよい余裕があって中身の出し入れがしやすい状態となっています。正直言ってめちゃくちゃ使いやすいです!
実際に使ってみた感想
PILOT UPGRADEの良い点
この記事を書いている時点で使用から1ヶ月ほど経過した状態ですが、出かけるときは9割以上これを持ち出しています。
ショルダーバッグタイプのカメラバッグの最大の利点、カメラや他荷物の出し入れのしやすさは文句なしですね。それ以外の良い部分をざっくり紹介していきます。
CORDURAで高強度なのに見た目がGood
ワックスキャンバスのような風合いがある生地なのに、実は引張強度の高いCORDURAナイロンです。
シワやシミなども経年の味わいに見える感じは、今までのCORDURAにはなかったように思えます。
ディバイダーの組み合わせで多用途で使える
ノートパソコン用ディバイダーも使えば、出先で撮影したものをパソコンに取り込んで現像、とかって使い方もできますね。
仕事で使うにはちょっとカジュアルすぎる気はしますが、業種によっては問題ないでしょうね。
脱着可能なポーチで容量や使い方の自由度が高い
ポーチは背面側にも取り付けることができます。※BROMPTON用のみ
ポーチの背面側にアタッチメントを2個取り付けることで、本体とワンタッチで脱着できる構造になっています。
もちろん、このポーチにもストラップを取り付ければ単独で使用することができるので、ちょっとした外出のポシェット的な使い方もできます。
負担を軽減してくれるショルダーストラップ
これはショルダーストラップに付いているパッド(裏面)です。
ゲルのようなものが封入されており、これにより肩への局所的な負担はかなり軽減できます。通気性はないので夏場は汗びっしょりですけど。
小技の効いた秀逸なフラップとバックル
フラップの両サイドにある生地のお陰で、フラップを閉じた状態で隙間ができにくいので雨なども入りにくくなっています。
フラップを閉じるこのバックルが秀逸なんです。
マグネットが内蔵されており、二つのバックルを近づけるだけでパチッと固定されます。
外すときはお互いを逆方向にスライドさせなければ解除できないようになっているため、引っ張っても外れるようなことはありません。
あと、個人的にはこのバックルも含めて金属パーツの使用を必要最小限に抑えているのがめちゃくちゃポイント高いです。
ただでさえ金属パーツは接触すると傷つけやすいのに、カメラに触れようものなら冷や汗ものですからね。
そんな中、バックルはプラパーツだし、フラップ裏や内側に無駄なポケットがない(=ファスナーがない)ためカメラを傷つける可能性が限りなく低いです。
デザイン担当者へスタンディングオベーションを贈ります!
PILOT UPGRADEのイマイチな点
ストラップを固定するプラパーツが邪魔
1ヶ月ほど使ってますが、本当に「ここが・・・」という欠点が見当たらないんですよね。
ずっと使っていると肩が痛くなるんですが、これはショルダーバッグであるが故の問題であって、これ以外のバッグでも同じこと。
ショルダーパッドのクッション性が高く、疲労はかなり軽減できているのでむしろメリットだと思います。
強いてあげるなら、背面下にあるBROMPTON用フレームを固定するためのストラップのプラパーツが邪魔ってところでしょうか。
邪魔というより、たすき掛けした際にこのプラパーツが身体に触れるので痛いんですよね。
少し尖っている部分があるのでそれが良くないのかなと思います。エッジのない形状であれば特に問題ない気がします。
値段がもう少し安かったらなー
あとはやっぱりお値段ですかね。
正直なところ、クオリティや使いやすさなどを考えるとこの価格は全然高くないと思います。(とは言え、安いとも言いませんが・・・)
ただ、BROMPTON用の日本価格はちょっと高すぎますね。
PILOT UPGRADEの総括
リュックタイプ、トートタイプ、ボディバッグタイプに次いで今回初めてショルダータイプのカメラバッグを使ったのですが使いやすさは今まででナンバーワンでした。
ファッションとしてのバッグと考えるとショルダーバッグはすこしオジサンくさいと敬遠していたのが正直なところ。
実際にオッサンだから今さら「くさい」も何もないんだけどね。
ただ、このPILOT UPGRADEはいかにもカメラバッグ!という感じがないので、普段でも全然違和感なく使えるものだと感じました。
イマイチな点として「値段がちょっと高いかな・・・」と書きましたが、これはもっと安ければもっと嬉しいということで、決して製品に対して値段が合っていないという意味ではありません。
もしかしたら私のカメラバッグ沼はこれでようやく終着を迎えることができるのかもしれません!そう信じて今週末もこれを担いで街にスナップ撮影に出かけるのでした・・・